美術評論:村上哲史のギャラリー拝見 ____________

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其の11

ごっついん阿波・森羅万象展 3-2

徳島県文化の森総合公園・21世紀館多目的ホールにて

徳島県内アーティスト有志による持ち寄り展より


ボクのお気に入り

『VOODOO(ブードゥー)』
小笠原重昭さん

 会場の中央に出来上がった異空間。綿密な計算の上に作られている作品であるにもかかわらず、自然のままの森の中、森の意志が聞こえてきそうな極めて素朴で懐かしい不思議な空間になっていました。ついつい引き込まれ、作品の下で安らぎに浸ったのはボクだけではなかったはずです。

 作品のタイトルである『VOODOO(ブードゥー)』とは、アフリカ文化を代表する言葉の一つ。アフリカ西海岸から連れてこられた奴隷たちが自分たちの加護を求めて神に祈ったのがブードゥー教の起源とも言われ、西洋では『魔術』として迫害を受けてきた歴史があるらしい。けれど『魔術』というのは、キリスト教を中心に据える西洋文化から見た印象であり、奴隷たちにとってブードゥーは、自然に宿る『精霊』であったはずです。そしてそれらは、彫刻やお面、また音楽としてアフリカを代表する文化を作ってきたわけです。

 このような歴史的背景は調べてみて初めて分かった事です。でもそのおかげで、また違ったイマジネーションが膨らみます。やはり知識としてたくさんの情報を持つということも大事ですね。

 作品の素材は、山で拾ってきた枝や流木。その枝や流木のそのままの形を生かして作られたこれらの人形からは、非常に細かな細工が施されているにも関わらず人工的なものはまったく感じられません。まさに『森の精霊』です。

 ぶら下がっている黒い箱はスピーカー。ここから音楽が流れる。この作品は音楽を含めて出来あがっているのです。

 また、画像8の数体の人形は、会場に来てくっつけたもの。最初、無造作に箱の中に置かれていたので、どんな風に床に並べるのかなと思っていたら、天井から吊り下げた後に、まるで魔法のように木の上に立てていったんです。びっくりしました。でもよく見ると、木に穴が開いていて足や手を差し込んでいました。そして1時間以上かかってだんだんと完成形になっていったわけです。まさに感動でした。

 とにかく、見れば見るほど新しい発見があります。本当に細かい細工がしてあるのです。何時間でもずっと眺めていたい作品でした。


もしよろしければ、御感想等頂けましたらうれしく存じます。掲示板へaaaa

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