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其の六 偶然と必然 川端由美作品展

2002年3月21日〜4月7日
ギャラリー フォレスト 〒770-9053 徳島市沖浜東3丁目18 Tel 088-656-8280

 前回に引き続き、写真展を見に行ってきました。川端由美さんとはこの日が初対面でしたが、幸田さんから「常識では考えられないことをいっぱいしていて面白いから行こう」と誘われ、連れていってもらいました。

_ 今回の会場である「ギャラリーフォレスト」は、徳島市沖浜の「ミリオン」というパチンコ屋の裏にあります。この場所に引っ越してきて1年ぐらい経つということでしたが、こんな所にギャラリーがあるなんて全く知りませんでした。気を付けて探さないと見つかりにくいし、駐車場がないのが残念ですが、こぢんまりしていていい感じのギャラリーです。

 中に入ると不思議な写真でいっぱいでした。殆どの作品が何を撮影したモノか、どのようにして出来上がったモノなのか全く分らないんです。結局一つ一つの作品について川端さん本人にネタばらしをしていってもらいました。

 一見、屋久島かどこかの深い森の中の写真かと思いました。でも、これらは自宅の台所で撮影したモノだそうです。川端さんの作品はすべてがこんな感じで、身の周りにあるすべてのモノが撮影の対象だということでした。でも何をどう撮影すればこうなるんでしょうね。
 さていよいよここからがネタばらしです。まず、食べ残しの肉じゃがにクレラップをかけます。もちろん後で食べるためですが、ラップの表面に付いた水滴が面白かったので撮影したらこうなったと言うんです。う〜ん、と言われても・・・。

 どれも色は大変きれいです。でもそれが何なのかは全く分りません。自然や物体のそのままの姿をありのままに映し出すのが写真だという概念を根底から覆してくれました。そして、そういう作品を作り出すための手法がこれまた凄い。フィルムを煮たり焼いたり引っ掻いたり、それをスライド投影してまた撮影し、煮たり焼いたりを繰り返すというんですから驚きです。ただデジタル処理は一切していないということでした。これだけは川端さんのポリシーのようです。

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 例えば、右側の月面の足跡のような作品は、フィルムをあぶったら出来るそうです。川端さんは「フィルムに焼きを入れる」と言っていました。ただ、焼きを入れればいつもこうなるわけではなくて、フィルムに亀裂が入ることもあり、やってみないと分らない、そこがまた面白いというふうに言ってました。

 左側にいるのが川端さん、右側は野籐(のとう)夫妻。幸田さんとはいとこ同士で、この日は偶然会って取材にも協力していただきました。


 小品は1枚5000円〜10000円程度で販売されていました。そしてまた目に付くのは額の種類の豊富さです。これらの額は、サティやダイエーその他普通の雑貨屋さんなどで見つけてくるそうです。フィーリングに合う額があったらとりあえず買っておいて、その中から写真に合う物を選ぶ。だから、家には額屋さんができるぐらいいろんな額があると言ってました。多分、頭の中には額のデータベースが入ってるんでしょうね。

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 この日はお客さんがたくさんお見えになっていました。中には川端さんの作品を初期の頃からずっと見ている人もいて、「だいぶ落ち着いてきたなぁ」と言っていました。けれど、これで落ち着いているのなら昔はどうだったんだろう・・・。

 ギャラリーフォレストの店員の河野さん。この日は1時間以上おじゃましていたんだけど、その間お茶を出してくれたり案内してくれたりいろいろお世話になりました。


ボクのお気に入り

「大きな自然と小さな自然は似ている」

 今回の作品展の中で一番の大作で、入り口から入って正面の一番目立つ位置に掛けられていました。川端さん自身も気に入っている作品のようで、「凄く手間がかかってもう二度としたくないので絶対に売りたくない」とも言っていました。また、一番具象的で一般の方にも分りやすい作品だと思います。

 画像を見れば分るように、木の写真を何十枚も組み合わせて作られています。これらの木は川端さんのふるさと川島町の木で、「ふと上を見上げると枝の張り方が面白かったのでフィルム何本分もシャッターを押していた」と言っていました。それにしてもこれだけの木を張り合わせると壮観です。まさに大自然です。けれど、それなのになぜか人体の内部を連想してしまうのはなぜでしょうか。神経系にも見えるし血管が張り巡らされている様にも見えます。人間の体も自然界の構造と同じだということでしょうか。人間だけではありません。すべての動物、すべての植物、自然界にあるすべてのものは本質的にみんな同じということでしょうか。「大きな自然は小さな自然に似ている」言われてみれば、まさにその通りだなぁと思いました。

神経が磨り減っている枯木立    哲史


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