術評論:村上哲史のギャラリー拝見 ____________

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其の七 イクタ コーゾー展

NOIR et ORANGE

2002年3月16日〜31日

於:カフェ・グリグリ

 川端さんの写真展を拝見させてもらった後、その足で「イクタコーゾー展」を見に『カフェ・グリグリ』に向かいました。
 生田さんとはバジャー展以来の付き合いで、墨汁とニカワで作り出す黒の世界は県内外でも高く評価されています。その彼が『NOIR et ORANGE(オレンジとの出会い)』という個展を開くというので、本当に色が付いたのか、どんな作品に仕上がっているのか確かめに行ってきました

 さて、今回の会場である『カフェ・グリグリ』ですが、昨年12月にオープンしたばかりの新しいお店です。店内は、カフェスペースとギャラリースペースに分けられていて、ギャラリースペースでは作品の展示の他に各種カルチャー教室も行われています。また、ホームページも充実していて、ギャラリーやメニューの情報がしっかりと書き込まれているほか、スタッフの日記や掲示板も毎日のように更新されていてとても楽しいページになっています。

グリグリHPへリンク↓クリック_

 それともう一つ、ぜひとも紹介しておきたいのは、バリアフリーの意識が非常に高いお店であること。入り口のスロープは緩やかですし、何よりトイレが広くてきれいです。飲食店のトイレの中で車椅子が回転できたのは初めてです。嬉しくなって2回も使ってしまいました。また、全席禁煙というのもいいですね。

 ギャラリースペースの入り口に生田さん直筆のサインを発見しした。グリグリのオープン時のチラシの上に個展のテーマと会期を殴り書きしたもので実に生田さんらしい。

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 そしてその下には、写真のような簡易スロープが用意されていました。何かの理由で一段高くしなければならなかったのだろうが、こうしておいてくれれば車椅子でもベビーカーでも楽に入れます。そして使わないときは右側の台の下にしまっておけば邪魔にならない。バリアフリーなんていうと大がかりなことを考える人が多いけれど、こういうちょっとしたことの方が使い便利が良かったりするんです。何より、こういう物を置いてくれてあるという心遣いが嬉しいですね。

 これが生田さんのいつもの作品。ピアノの上に置いてあるのには別に理由はないと思うのだが、同じ黒同士ということもあってこれ以上ないぐらいしっくりとはまっている。何か余計に重厚な感じがして、ピアノとの関係をつい考えてしまいたくなってしまいます。_

 彼の作品は、キャンバスの上に墨汁とニカワを垂らし偶然に出来る微妙な変化を楽しむというのだが、最近は意図的に細工する部分が多くなってきているように思う。前回の個展で形がはっきりしだしたなぁと思ったら、今度はついに色が付いた。入り口に貼ってあった挨拶文の中で「コレモグウゼンノナセルワザカ・・・」と書いてあったけれど、これはもう偶然ではなく必然でしょうね。

 彼の個展では、作品の見せ方にも一工夫している。意味のないものを意味があるように配置するのが大変巧い。今回だって、ただ椅子の上に置いてあるだけなのに、魂の鎮魂というか非常に厳かな雰囲気を漂わせている。

 なぜなんだろうと考えてみた。まず椅子が面白い。といっても作品を置かなければただの椅子だ。この作品を置いてこの配置にすることによって魂が宿った。西洋のお墓、遺骨、燈籠流し・・・。そして石室を思わせる一面真っ白の壁、黒いピアノ、すべてが生田さんの作品のために作られ配置されていた。個展全体をプロデュースすることも作家の力量なのだと改めて思い知らされました。

 今回の個展で一番驚かされたことは、オレンジ以外にも色を使っていたことです。実は『NOIR et ORANGE(オレンジとの出会い)』というだけでも半信半疑でいました。それが行ってみるとグリーンもあれば白もある。いろんな実験が行われているようなので次回の個展がとても楽しみです。


ボクのお気に入り

 『NOIR et ORANGE(オレンジとの出会い)』というので、どんな風にオレンジが使われているのか楽しみでした。いつものように制作している過程でたまたまオレンジ色に発色したものをよりだして展示しているのか、はたまた添削用のオレンジ色の墨汁?を使ったのかといろいろ想像していました。ですが想像とは裏腹に実際の作品は至ってシンプル。拍子抜けするほどシンプルで『NOIR et ORANGE』そのものでした。

 でも、このシンプルさが生田作品の最大の特徴であるわけです。これまでの黒一色にオレンジが加わり二色になったわけですから、彼が画面を二等分したのは当然というか必然だったのかもしれません。黒い部分が「暗」ならばオレンジの部分は「明」。明と暗、陰と陽が対になって世界が構成されるならば、作品の中にも明と暗、陰と陽があって当然だからです。そしてそれを象徴的に表現しているこの作品。生田さんの世界が新しい領域に入ったかなと感じさせるに十分な作品であることも間違いないでしょう。

春昼のカフェに漂う鎮魂歌     哲史


 お昼ご飯はここで頂きました。カレーとクリームのライスコロッケ750yen。コロッケの直径は5cm程。中はアツアツで、猫舌のボクはかなり手こずりました。それに、メニューには軽食ということになっているもののなかなかボリュームがあり、この一皿でお腹いっぱいになりました。次回は「黄色いカレー」というのを食べてみたいですね。それに自慢のお茶も飲んでみたい。近くを通ったら絶対また寄りますからね。

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 『カフェ・グリグリ』へは中華そば「いのたに」を過ぎて左に入り、道なり後左折、一方通行のハギレヤ通りを過ぎた頃左側にあります。みなさんもぜひ一度行ってみてくださいね。特に車椅子に乗っている方には絶対お奨めです。


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