美術評論:村上哲史のギャラリー拝見

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其の三

 西 昌代「春夏秋冬の器展」

平成13年11月9日〜12月9日
神山温泉 四季の里ロビー


今回は、西昌代さんの「春夏秋冬の器展」を見に神山温泉におじゃましてきました。

西さんとは面識も何もありませんでした。徳島のタウン誌「アーサ」を開き、「これ見てみたいなぁ」と思って突撃取材。この企画そのものが元々そういうものだから、3回目にしてやっと原点に返った感じです。

当然アポは取っていませんから、会場には西さんはいらっしゃいませんでした。会場を案内してくれたのは、四季の里副支配人の和田さんです。

神山温泉へのアクセスは http://www.infoeddy.ne.jp/kamiyama-spa/です。


神山温泉「四季の里」に入ると、右側にフロント、正面にギャラリーがありました。ギャラリー自体はそんなに広くないのですが、ロビーから続く空間に丸太を並べた腰掛けを配置し、くつろげる雰囲気が演出されていました。


作品は左から、春・夏・秋・冬の順に並べられていました。でもディスプレイケースは全部で六つ。春と夏の間には初夏の器が、秋と冬の間には晩秋の器がディスプレイされていたような気がします。作品数は40点〜50点というところでしょうか。1つ500円〜30,000円程度で販売もされていました。


西さんは石川県出身。金沢美術工芸大学卒業後、九谷焼技術研究所に入所。97年に徳島で工房を開いたという経歴が示すとおり、特に冬の器からは雪国の素朴な味わいが作品の一つ一つからにじみ出ていまし
た。


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これだけ薄く正確な円の土鍋が作れるということは、確かな技術を持っている証拠。ボクなんかがここまで薄くすると必ず歪んでしまいます。だからわざと(意図的)にもっと歪めて誤魔化しているんだけど、さすがですね。それと、真ん中のキャプション立てがとてもかわいい。このアイデア、頂いていいでしょうか。


湯飲みにくっついているのは虫でしょうか、樹の新芽でしょうか。それとも全く違うものでしょうか。何にしても面白いと思います。作り方は、はじめに湯飲みを形成しておいて、種類が違う別の粘土で虫のようなモノを作りくっつける。ここまではそんなに大変な作業ではないと思いますが、イメージ通りの色を出すのが難しい。そして何より、こういう湯飲みを作ろうと思ったことに拍手を送ります。


_ボクのお気に入り

「雨上がりの宝石」

これは蓮の葉でしょうか。そして自分の顔が映り込みそうな不純物のない透明の雫。上の作品は10cm程の小鉢ですが、30cmを越える大きなお皿もありました。正直言って、これらの作品群を見るまでは「普通の作品だな」と思っていました。確かに春夏秋冬それぞれの味わいはありましたが、何をどうコメントしようかと困っていました。そんな中で蓮の葉の大皿を見つけ、そのリアルさに釘付けになりました。まず驚いたのが、蓮の葉の質感までを表現したグリーン。織部のようで織部でない。一応おかしな壺を焼いているけれど、本格的な釉薬の勉強をしていないボクには、どんな釉薬を使ってどんな焼き方をしているのか分かりませんでした。また、歪めるのを得意とするボクとしては、小鉢の歪み具合もたまりません。小鉢が小鉢でなく葉っぱそのものに見えていました。それに朝露のようなガラス玉。これをどのようにくっつけたのか、どんなタイミングでガラスを垂らしたのか、興味は尽きません。取材のことは忘れ、しばらく見入ってしまっていました。西さんが作り出した夏の朝のすがすがしい風景の中に迷い込んでいくようでした。

銀色の雫こぼるる明け易き   哲史


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幸田:自宅に持ち帰り、手も触れず棚の上にしまいました。3日後、写真を撮影しようと取り出したら水玉がちょっとちゃうぞー、クックラックだー。ひびがはいってるー。でも、これもきれい(^_^)、でも透明な雫っぽいのおしいです(;_;)Why??カメラマン幸田は水玉撮影が大好きなのでついチカラが入ります。

上の写真は自然の雫。後で西さんに聞いたところによると、透明のガラス玉は偶然出来たもので、他のすべての玉にはひびが入っているということでした。

もしよろしければ、御感想等頂けましたらうれしく存じます。掲示板へa


次回の予定は立っていませんが、別巻「アトリエ探訪」を企画中です。第一回は平木美鶴さんかなぁ?。

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