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Studio.4  桑原健二さんのアトリエ 2−2
場所---------------(名東郡佐那河内村下嵯峨)

 桑原さんは普段はほんとにアバウトな性格で、このことは作品を見てただいただけで分かると思いますが、絵の具や油に関してはこだわりがあるようで、調合などもすべて自分で行っているようです。

 「ほなってなぁ(だってそうだろ)、ええ色出そう思たら、自分で作らんと(作らないと)。やっぱりこだわらんとあかんよ(こだわらないとだめだよ)」やっぱり、どんな作家でもこだわりがなくなったらお終いです。

 奥に飾ってある赤と黒の顔らしきボク好みの作品は、隆一君が描いたもの。「これ、ええやろー」ってしきりに言っていました。桑原さんに似て色もタッチも大胆です。いつもいっしょに描いていて、桑原さんの作品に色を塗らしたりしているそうで「将来楽しみだろ」って親ばかぶりを発揮していました。
 そんな桑原さんに、製作中に気をつけていることは?と尋ねると、「仕事とアートを区別せん(しない)こと。(薪の)炎はアートだ!木を切るのもアート。
水が流れるのもアートだ!」と熱弁していました。また、「自然のいかなる場所でも耐えられる長持ちする作品を作りたい。それから、森を知り、木を切ってるワイでないと(私でなければ)表現できん作品を作りたい。たとえば、森とか山とか川とか・・・。村上さんも描いてみたい。モデルお願いできるで(できますか)」

 桑原さんがボクを描いたらどうなるんだろ。興味はあります。でもちょっと怖い。

 隆一君はテレビカメラに興味深々。「テレビに映ったボクを友達に見てもらう」と言って、カメラの前ではしゃいでいました。そんな隆一君にカメラマンさんから「これ、覗いてごらん。お父さんが映ってるだろ」というお誘いの言葉が・・・。この経験は、隆一君の将来に何か影響するのでしょうか。

 また、このカメラマンさんが面白い人で、自前のチェーンソーを持って山に入ることもあるらしく、桑原さんとはすぐに意気投合していました。そういえば、幸田さんもチェーンソーを持っています。よっ、チェーンソー三人衆!

 NHKの取材陣が帰っていった後、「パソコンの使い方を教えて」ということになって、まずはインターネットの見方をかねて『アトリエ探訪』を見てみることにしました。『アトリエ探訪』に登場する平木さん三木さん斎藤さんもみんな知り合いです。『次は今日の写真がこんなふうに載るけん」というと、「ほぉー、楽しみなぁ」と言ってました。
 桑原さんは電機のスペシャリストですが、パソコンなどのハイテク機器はまるでダメで、「メールは便利でよ」と言っても「ほんなん(そんなの)電話した方が早いでぇ、な、な、なぁ」いというほど。「隆一、よう見て後で教えてくれよ」とも言っていました。パソコンに関しては、隆一君の方が師匠のようです。

 アトリエには、小さな絵もたくさん飾られていました。中には奥さんの描いた絵も。そうです。このご夫婦も斎藤家と同じようにご夫婦で絵を描いているのです。しかし、こちらの奥さんは、最近あまり描いていないご様子。ぜひともまた描いてほしいです。

 見てください、この狭くて急な階段。昇りは桑原さんに背負われ、帰りは井浦さんに背負われ降りていきました。「村上さんて、意外と重いなぁ」とは桑原さんの言葉。「また重くなられましたね」と井浦さん。ほんとお世話かけます。

 階段を降りて車椅子に乗ったところです。井浦さんはまだ息があがっています。
 実は、ボクと桑原さんが向いている方向には、大きな桶を置いただけの手作りの露天風呂があります。桑原さんはしきりに「入っていけ」と勧めましたが、風呂に入るのは階段を上り下りするより大変です。「今日はやめとくわ」と言って断ってきました。

 すると今度は「ごはん食べていけ」と勧めるのでご馳走になることにしました。アトリエ兼展示場の横の居宅に上がらせていただき、スダチを使ったにぎり寿司をいただきました。さっぱりとしていていくらでもお腹に入ります。
 その横では、子供たちが相変わらず元気いっぱい。柱に登ったり相撲をしたり。まさに「野生児」という表現がぴったりの子供たちです。
 食事の後、最初に紹介した記念写真を撮りました。そして、ここでも「ほんま(ほんと)にまた来てよ。パソコンも教えてほしいし、モデルもな。ほんで(それで)今度は泊まっていってよ。お風呂もあるし」奥さんと一緒に誘ってくれました。ほんと嬉しいかぎりです。


桑原健一さんのプロフィール

1958 佐那河内村の電機屋の長男として生まれる

1977 徳島東工業高校インテリア科卒業

1986 絵を描き始める

1990 第1回個展を開く(徳島市シビックセンター)

1995 アトリエが出来る

個展9回  グループ展12回他、アートパフォーマンス、インスタレーションなど、幅広い分野のものづくりを楽しんでいる。

☆完成作品は、多くの個人コレクターによって大切に所蔵されている。


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