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村上哲史のアトリエ探訪     5


 幸田さんが秘密兵器を開発してきてくれました。その名も「乗り降り君」。実に安直な名前の何の変哲もない台ですが、ボクの場合、これがあれば多少座席の高いバンやトラックでも簡単に乗り降りすることが出来ます。元々は幸田さんの撮影用の機材の1つだそうで、それにスロープとなる板を取り付けたもの。「カフェ・グリグリ」のスロープがヒントになったようです。でも、脱輪しそうで少し不安。これからは台を折り畳めるようにして小型軽量化も考えています。


Studio.3 サイトウシゲジさんのアトリエ
その1---------------(板野郡藍住町の自宅のちゃぶ台)

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 サイトウさんはイラストレーター。県内屈指の多作家で、最近までほぼ毎晩のように数枚描いていたといいます。上の作品のようにデジタル化されたものだけでも数百枚あるそうです。


 サイトウさんのご自宅です。コンクリートの四角い建物で、このあたりではかなり目立ちます。
 玄関にはお花がたくさん並べられていました。と思えば、もう誰も使っていないようなバイクが埋まっていたりして、よく見れば「カオス」という表現がぴったりの玄関でした。


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 中に入ってまず見せていただいたのが、ホームページの作成用に少しずつデジタル化しているという作品集。愛機のパワーマックからスライドショーのように止めどなく流れていく作品を見ながら、絵を描き始めた頃から現在までの心の動きなんかを熱く語ってくれました。


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 サイトウさんは学生時代、詩を書くのが好きで友人と詩集を出したりしていたそうです。絵を描くのは好きといえば好きという程度だったようなのですが、ある時コンクールに出品した作品が賞をもらい、「単純だからね、凄く褒められた気分になって、それから絵をたくさん描くようになった。そこがこの人生の間違いの始まりやね・・・」としみじみ振り返っておられました。

「まず線ありき」これがサイトウさんの流儀です。手の届くところにある紙(画用紙でなくてもいいようです)に適当なペンで思いのままに線書きしていく。人物が描きたいなと思えば描き、横に猫がいれば面白いなぁと思えば猫を描く。形なんかどうでもいいし、色のことは考えない。ただ思いのままにペンを走らす。気が付けば1時間や2時間の間に数枚から十数枚出来上がっていたというのはよくあることのようです。
 でもそれが完全な完成品かというとそうではないようです。「作品は常に進化する」という表現をしていましたが、これは、線書きの絵に色を塗ることもあるし、写真にとってスライドにしたり、そのスライドにマーカーで色を付けることもあれば、スキャナーで取り込んでデジタル加工を施すこともあり、その課程の一つ一つが一応の完成した作品ではあるものの、今後どのような作品に変化していくのか分らないということだそうで、そんな作品の進化を本人も楽しんでいました。
 また「作品の中に失敗作というのはない」とも言い切っていました。失敗したら丸めて捨ててしまうという人はよくいますが、サイトウさんは作品は絶対に捨てないといいます。「違うと思えば直せばいいし、それはそれで1つの作品ですから」なるほどと聞き入っていました。

 「スライドの表面に試しに色を塗ってみたら巧く載った」
 想像してみてください。こんな小さな画面に夜な夜な色を塗っているサイトウさん。でも本人は本当に楽しそうにやってるんです。
 「嫌々描く絵は絵ではない。芸術はいつも自由で楽しくなければ・・・。私はただのおっさんですから何のしがらみもなく自由に描けるのがいいです」今日のサイトウさんは口もなめらかです。

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 右側の女性は、「ギャラリー拝見」にもご登場いただいた斎藤志津子さん。サイトウシゲジさんとはご夫婦です。お二人は学生時代からの付き合いで、「私は彼の詩のファンで、絵の方はあんまり巧いとは思わなかった」と志津子さん。お互いに作品の批評とかはしあうんですかの質問には、「あまり干渉はしあわないけど、たまに『それいいわー』なんて言われるとやっぱり嬉しい。こいつはどう思てるか知らんけど・・・」「私だっていいって言われたら嬉しいわよ」「ほんまか」とても仲の良さそうな夫婦の会話が聞かれました。


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